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岡本喜八監督とみね子夫人のご紹介で、俳優の風間トオルさんと知り合ったのはもう3年前のことでしょうか。その時は、ニューヨークで数日間通訳をさせていただきました。マネージャーの郷原さんとも仲良くしていただいて、それからは一緒に映画の企画を立てさせてもらったり、帰国のたびに美味しい物と美味しいお酒をご馳走していただいたりしています。
今回、トオルさんが始めて舞台劇に出演されるということで初日に拝見させていただきました。題名は「恋愛ホテル Love X Hotel」。それぞれのラブホテルの部屋で3組の男女が織り成す人間模様を【同時進行オムニバス】で見せるという映像的(?)な舞台。トオルさんを始め、共演の阿木燿子さん、西郷輝彦さん、神戸みゆきさん、持田真樹さん、小林顕作さんの演技と存在感に圧倒された2時間でした。
ラブホテルの部屋3つを抽象的に表現したセットデザイン、照明、演出、そしてリンクしないような3つの話が見事にリンクしてくる粋な脚本、すべてが一流。見事に娯楽と芸術を融合させていました。
が、「舞台は俳優のモノだ」という誰かが言った言葉を思い出しました。ホント、舞台は俳優さんのモノですね。幕が上がって芝居が始まると、そこにあるのは、観客と出演者の勝負。観客の目は出演者の一挙一動に注がれます。そのナマの視線を受けとめ、いかに観客の心を物語の世界に連れて行けるが出演者のひとりひとりに掛かっているんです。セットデザイン、照明、演出、脚本は、その勝負のためのリングを用意するような役目とでも言いましょうか。
映画だと、演技はそんなにナマじゃない。たとえば、ひとりっきりで泣きたい演技のときは、カメラマン以外セットの外に出て撮ることも出来ます。舞台のように何百人の人間に見られながらの演技ではありません。映画だと、観客の心を物語の世界に連れて行くのは、出演者だけの責任ではなく、監督、カメラマン、脚本家、作曲家たちの連帯責任になります。映画作品が観客と勝負するとき、俳優、監督、カメラマン、脚本家、作曲家たちの仕事はすでに完結しています。映画作品がひとりで、観客と勝負をしてくれるんです。(配給会社の戦いは、これはまた別の話。)
これは良し悪しの問題ではなく、種の違いということです。落語家と画家、どっちが凄いか比べてみろと言われても、それは無理。舞台と映画もそうですね。
ただ、舞台でナマの存在感、ナマの名演技ができる俳優さんは映画でもきっと凄いのです。それは間違いないでしょう。
トオルさんたちの名演技に酔った後、飲む約束をした親友が待つ渋谷に向う電車の中、そんなことを考えていました。
トオルさんと映画が作りたいと思う気持ちは、舞台を拝見してますます強くなりました。 |