【深作監督の遺作】


今年初め、深作欣二監督がお亡くなりになりました。ロサンゼルスで一昨年「バトルロワイヤル」が上映された時にお会いしたときはお元気そうだったのにとても残念です。監督と初めてお会いしたのは1997年の夏でした。「小学4年生で拝見した「里見八犬伝」にとても影響されてます」とお伝えしたら、「え、そんなに若いの、君!?」と快活に笑っていらしたのが印象的でした。
 
その深作監督の(完成した)遺作となったのがプレイステーション2のゲーム「クロックタワー3」。娯楽映画の巨匠の遺作としては意外な印象を受けつつ、先日プレイしてみました。カメラワーク、カッティング、そして登場キャラの演技、動きと声のリアルさ。さすがにホンモノの活動屋が手がけられた作品、見ごたえがあります。ゲームプレイ的にはイマイチな部分もある作品ですが(特にボス戦が単純作業的で爽快感に欠ける)、「バトルロワイヤル」のように戦う15歳の話だったり、「里見八犬伝」のように聖なる弓矢で悪を倒したり、「仁義なき戦い」のようにボスキャラに名前と懲役年数のテロップが出たり、シザーマンのデザインはほとんど「魔界転生」の真田広之さんの衣装だったりと深作監督のファンだったらニヤリとさせられるこだわりと遊びが随所に見られ、面白かったです。


 




 

 



「鬼武者」シリーズで実在の俳優たちがメインキャラとして顔を提供したことは「ゲーム」と「映画」という2大映像エンターテイメントの将来を示唆した観がありましたが、「クロックタワー3」は映画監督がゲームを演出するという映像娯楽の未来系を具現化した試みだったと思います。20世紀の娯楽映画の巨匠は、21世紀の映像娯楽の将来を我々に遺し旅立たれたのです。そう思うと少しも意外な遺作ではなかったのだと気付きました。深作監督は「仁義なき戦い」、「バトルロワイヤル」などでバイオレンスの名匠とカテゴライズされがちですが、「蒲田行進曲」のような人間ドラマの傑作や「柳生一族の陰謀」などの骨太時代劇、そして「黒蜥蜴」のようなアバンギャルドな作品まで驚異的に守備範囲の広い映画作家でいられました。その守備範囲はゲームまで範疇に収めてしまったのです。

深作欣二監督のご冥福を心よりお祈りいたします。最後に「クロックタワー3」解説書にある深作監督の言葉を引用させていただきます。

「もっとも大事なことは、あきらめないこと。あきらめたら、その仕事は見えてしまう。見えてしまった仕事はつまらなくなってしまう。最後まであきらめない、それが仕事を面白くするたった一つの条件だと自分では思っています。」


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